洛中洛外図解析とその系統化の研究
本研究では洛中洛外図作品群が同一地理を対象とした芸術作品群として、
その地理情報の普遍性に着目し、景観構成を一つの形として捉える。
先行研究として、景観構成分析手法を参照し、そして生物の進化を比較する
幾何学的形態測定学の手法を用いて、洛中洛外図の空間構成の違いについて、
地理形態の変化から系統化を進めると同時に、直感的、視覚的な判断による
作品比較評価の提示をおこなうものである。
本研究では、これらのうち第一の定型を構成する四作品について解析をおこない、
比較検討し、引き続き第二定型の作品群についての研究をおこなった。
現存している作品画像のデータベースを作成し、それぞれのランドマーク表を作成し、
その配置を大きく左隻右隻への分布を調べた。これらのデータベースから、
景観類型構成図(内藤、1970)を提示するデータベース表示を作成し、これらから、
これまでの研究者の分類と照合可能とした。
また、形態測定学手法による解析研究では、左隻右隻それぞれで地理との照合を行い、
位置の変化によるかたちの違いを、定量化し系統化可能な条件の検討をおこないながら、
クラスター解析などによって洛中洛外図の系統についての検討をおこなった。