景観構成図
景観構成分析手法について
都市建築史研究の内藤昌氏の景観構成分析法では山城盆地の実測地図を東西24コマ南北160コマに区分し、
各屏風に描かれた建造物を地理上にプロットした空間構成模式図を表し、各屏風の空間構成の特色を視覚的に明らかにした。
この手法は現在においても、洛中洛外図の構成解析手法として研究利用される優れた手法である。
図1 地名入り空間構成模式図 12×50コマ [PDF 86kb]
地理上への反映
比較に際し、内藤氏の挙げた地名をもとに地図上に配置した。(図1)
この図が画面の主題にあわせて、等価的に配置されている。
Googleマップ上にランドマークを配置した図を見ると対象となる地点は必ずしも等価に分散されている訳ではなく、描かれた建造物が集中するエリアでは必然的にランドマークが集中している。
洛中洛外図の景観構成図法による比較
内藤氏は既に歴博甲本と上杉本の景観構成模式図による比較をおこなっている。
図は京都の模式図が背景にある事を想定して見る事で、地理的関連性を直感的に理解できる。
比較形態幾何学的手法を用いた作品の比較
比較形態幾何学的手法
比較形態幾何学では生物学の進化や系統化の為に二次元形態の特徴点に標識点(ランドマーク)
を打ち、異なる個体同士のランドマークから、形態変化の経過を検討し系統化を測っていく。
これらの作業を薄板スプラインThin-Plate Spline (以後TPS)関数(Fred Bookstein1989)を用いて、形態とその局所的変形が発展した比較解析をおこなう。
ランドマーク(標識点)
京都の地理上にランドマークを配置し、各作品との比較に用いる。
ランドマークには建物や通りを抽出し、TPSデータを作成した。
景観構成図による作品の比較
それぞれの作品から、共通のランドマークと特徴をあらわす全ランドマークを反映させ、景観構成図を作成し、京都地図上に配置した。いずれの作品も左隻は上京の町、右隻は下京の町を中心に描かれているがすぐにわかる。
本研究においても内藤式名称に習ってTPSによって変形させた画像ベースを景観構成図という名称で呼ぶ。