我々が現在入手できる情報の多くは、新聞や雑誌等のメディアによって加工されている。これらの情報は我々が受け取りやすいように加工されており、自分が努力をあまりしなくても理解し、入手できる。しかし、これらの情報が加工済みであることは多くの場合忘れられている。情報の本質を捉えるためには、目に見え難い情報を把握していく必要がある。本作品には、「目に見えない存在の重要さの呈示」というもう一つのコンセプトが存在している。本作品では視覚を用いる限り、空間全体を把握することは出来ない。上述したようにコンポーネントには音源は表示されていない。また、ディスプレイを用いたために空間情報は正確に再現されているわけではない。限られた視界では、他ユーザの存在もほとんど把握することは出来ない。見ために捕らわれず、聴覚を通じて空間全体を感じることによってのみ、本作品の全体は把握可能となる。

Atsushi Shinjoh
Masayuki Akamatsu