トランスフォーメーション
    画像ー音声ー音楽間のアルゴリズムによる変換技法

    クラーレンス・バルロー


    音楽と言葉と絵を結びつけることは、これまでにも多くの試みがなされてきた。例えば、ごく普通の歌の譜面というものを取ってみても、言葉と音響という別個の層を互いに結びつけた表現と言える。更に例えば、XY座標上において示される曲の周波数分析なども、その一例として挙げられるだろう。

    取り分け、私の過去30 年間の作品群に特徴的に見られるものもまた、音楽と言葉と絵を結びつけるさらなる可能性を示すものである。それは例えば、次の事柄が挙げられる。

    1. 言葉の音楽への置き換え、即ち

    a) 正書法的手法-あるテキストのアルファベットを音に置き換える方法-例:「ピアノのためのテキスト音楽」

    b) 音声学的手法-発話されたテキストの音節を周波数分析し、その周波数を普通の楽器によって演奏させる方法。その際、2つの方法が採られる。ひとつは対位法を用いた多声部にする方法(私はこれを“ synthrumental手法”と呼ぶ。例:「1月のナイル川で」)、もう一つは個々の音の速やかな運動の連続としての“雲“のような音響を使う方法(私はこれを”spektastisch手法”と呼ぶ。例: ピアノ曲「クリ・スティ・ベカー」)。

    2. 言語としての音楽の概念、即ち

    これは、音楽が入力テキストの構文上のレベルに沿っていることが知覚されやすい「テキスト音楽」に限らず、今私が作曲中の打楽器曲にもより多く見られる手法であり、ここでは一つ一つの音響、一つ一つの雑音が、この曲のために新たに創り出された言語の音声となっているのである。

    3.絵を音楽へ置き換えること、即ち

    例えば、パラメーターの線-アルゴリズムにる作曲における変化曲線-が第1に挙げられよう。例えば「テキスト音楽」に見られるような、映像の中の動く対象物を音楽パラメーター(変数)に変換するという手法を初めとして、更に スキャンした画像の個々のピクセルに変換するという手法などが挙げられる。これらは例えば、「36 のスキャンされた視点」や「クリ・スティ・ベッカロ」などのピアノ曲に見られる。

    4. 音楽を絵に置き換えること、即ち

    ここでは、先に挙げたグラフィックな分析の例を挙げることができる。あるいは、より重要なのは、意図的に視覚造形上の顕著な特徴を音響的な特徴に対応させることによって面白い絵を創り出すということである。例としては、近い将来発表予定の「..until..」を含むCDのカバーに使われる画像(図2 参照)や、既に76年に試みた2台のピアノのための「Verh獲tnisse Nr.4」の絵(画像)への変換が挙げられる。

    (翻訳:三輪郁子)




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