Work On Max
音楽を中心としたプログラミング言語「Max」がベースの一味違うコンピューター音楽のワークショップ。同時にBBSコンミュ・テレプレゼンス・ラボでのサポートプログラム*を開催し、長期に渡る実際的なワークショップとする。講師は、Macの内蔵音源を使った音楽を紹介する「サイバー・キッチン・ミュージック」の著者Yuko Nexus 6(vol.1〜vol.2)とMAXを初めて日本語で本格的に紹介する本「マジカルMAXツアー」の著者ノイマンピアノ(vol.3〜vol.6)がつとめる。
開催日:1996年8月10日(土) 9月7日(土) 11月24日(日) 12月8日(日) 1997年1月19日(日) 2月9日(日)
講師:Yuko Nexus 6、ノイマンピアノ(赤松正行 + 佐近田展康)
場所:ジーベックスタジオ(2F)
各回参加費:一般 \1,500 S.C.メンバー \1,000
あらかじめ、電話でご予約下さい。(078-303-5629 担当:森)
サポートプログラム*
BBSコンミュ・テレプレゼンス・ラボ上で、上記6回のワークショップのレポートを含め、ワークショップの内容やMaxに関するQ&A、またMax Patchの公開等を行なっていきます。その他いろいろな情報交換の場として、次回のワークショップまでの時間もネット上ではワークショップは続いているのです。
vol.1 サイバー・キッチン・ミュージック
「録音再生機としてのMAX」
日時:1996年8月10日(土) 午後6時開場 午後7時開始
講師:Yuko Nexus 6
Macintoshの内蔵音源をフィーチャー。Maxをシンプルな録音機械として捉える試み。サンプラーよりも、もっと手軽な「テープレコーダー式」Maxの楽しみ方を、ライブ演奏を含めてプレゼンテーション。MIDIよりも、もっと“手前”から……具体的な音の断片を使って、音楽を奏でる手法をUnsuported object"usnd"を中心に紹介していきます。
vol.2 サイバー・キッチン・ミュージック
「MAXを使ったWeird Network」
日時:1996年9月7日(土) 午後6時開場 午後7時開始
講師:Yuko Nexus 6
MIDIはDeskTopMusicのためだけにあるわけではない。複数のマシンを相互に繋ぎ、スリリングなネットワーク演奏を行なうプロジェクト“Live on the Line”の実例を紹介しながら、Maxの新たな(奇妙な?)使い方を探る。ムービーやグラフィックも含め、Maxを使って「合奏」するためのヒントを提示するレクチャー。
vol.3 マジカルMAXツアー「豊饒の海」
〜イントロダクション/アルゴリズム/コンポジション
日時:1996年11月24日(日) 午後3時開場 午後4時開始
講師:ノイマンピアノ
ノイマンピアノ担当第一回は、カオス、フラクタル、確率など音楽的興味を触発するさまざまなアルゴリズムを気ままに観光しながら、数と音楽の接点で遊ぶ。これは同時にMaxプログラミングの基本的な方法論・考え方を横断するイントロダクション・ツアーとなるだろう。
vol.4 マジカルMAXツアー「知覚の扉」
〜センサー/デバイス/コントロール
日時:1996年12月8日(日) 午後3時開場 午後4時開始
講師:ノイマンピアノ
いまやコンピューターは眼や耳といった感覚器を持ち、言葉を発し表情を垣間見せる存在となった。リアルタイムにビデオ入力を取り込むVideoIn、オーディオ入力を感知するsiLevel、Macintoshのスピーチシンセサイザーを自在にコントロールするspeech、そして様々なグラフィックス。これら注目すべきMaxオブジェクトを例に「外部」へと拡張されたMaxプログラミングの可能性を紹介する。加えて光センサー、Pitch-to-MIDIコンバータ等の簡易なセンサー利用についても触れる。
vol.5 マジカルMAXツアー「北京の秋」
〜MIDI/タイム/アーティキュレーション
日時:1997年1月19日(日) 午後3時開場 午後4時開始
講師:ノイマンピアノ
MIDIは単なる規格である。しかしそれは決してニュートラルでもユニバーサルでもなく、音楽や時間について一定の思考様式を暗黙の内に秘めている。このことは既成の音楽ソフトウェアも同様だ。一方、Maxプログラミングでは、音楽の生成は予め与えられた枠組みから出発するのではなく、まず枠組みそのものを作ることから始めることになる。ここでは「時間」に焦点をあて、MIDIを使った音楽生成の実例を見ながら、リアルタイム性や時間の不均質化、文脈の生成・解体などについて考える。
vol.6 マジカルMAXツアー「永遠の詩」
〜セッション/インタラクション/コミュニケーション
日時:1997年2月9日(日) 午後3時開場 午後4時開始
講師:ノイマンピアノ
コンピューターを楽器と考え、Maxプログラミングを自由な楽器作りだすると、次のステップとしてプレイヤー同士のセッションへの要求が生まれるに違いない。これを実現するためには、互いの意志を伝え、タイミングを共有し、複雑なコミュニケーションを行なう必要がある。あるいは、極めて簡単なルールで事足りるのかもしれない。ワークショップ最終回は独自のコミュニケーション・プロトコル開発の試みをはじめ、コンピューター音楽における真にインタラクティブな「共演」の可能性を考える。
講師プロフィール
Yuko Nexus6
1964年生まれ。ライターとして「WIRED」(DDP)、「Digital Nova」(http://www.fpi.co.jp/smachine/)に寄稿する傍ら、Macintosh ベースの電子音楽に明け暮れ、ライブ活動を行なう。'96年より千野秀一、前林明次とともに"ネットワーク楽団Live on the Line"でも活動。著書にMacの内蔵音源をフル活用するレシピ「Cyber Kitchen Music」(翔泳社刊)、米国西海岸のちらしを集めたビジュアル本「FLYERS--California」(星雲社発売)がある。e-mail:JAB00245@niftyserve.or.jp
ノイマンピアノ(neumannpiano):
赤松正行
メディア・コンポーザ、ライター、プログラマ。
音楽とコンピューターを中心としたメディア作品を制作。特にインタラクティブでありながら、作品自体が能動的であり自律的であるような環境の構築に主眼を置いている。「ノイマンピアノ」およびデジアナ・ハイブリッドバンド「Wolfgang Nai」のメンバーであり、BBS「コンミュ・テレプレゼンス・ラボ」のシステムオペレータを務めている。主な作品にインスタレーション「soundtronics field」や書籍「マルチメディア・プログラミング」などがある。またエレクトロニクスを主体としたライブアクト「ManMade」シリーズを敢行中。
佐近田展康
1961年神戸生まれ。パーソナルコンピューターとそれを取り巻く世界とのリアルタイムなコミュニケーションに注目し、そこから創発する音楽の可能性を追及。'91年よりMaxを使い始め、インスタレーション"Plantronics Garden"、コンサート"Virtual Network Sound Performance"、"Fluxus Media Opera"などに企画・演奏等で参加。BBSコンミュ・テレプレゼンス・ラボでは初心者向けMaxオンラインワークショップを主宰する。赤松正行とアルゴリズミックバンド 「ノイマンピアノ」 を結成し、活動の一環として著書「マジカルMAXツアー」(ディー・アート刊)を出版。
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