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パーカション奏者がドラムパターンを記憶し、それを正しく演奏するか否かによって全体の音響が変化していくゲーム的要素を取り入れた舞台作品。ドラムパターンと演奏の正否を表示する映像プロジェクションを伴う。 |
第1部(情景) 演奏者が弓やゴムボールによる特殊奏法でドラを演奏する。ドラの音はマイクで収録すると共に、音響処理が施されてPAスピーカから流れる。これらによって雨が絶え、荒涼とした世界の情景が描写される。 |
第2部(伝授) 演奏者は雨乞いの修練を行うことが音声によって告げられる。演奏者は目隠しをしてボンゴとバスドラムのセットに向かう。演奏者は、音声によって提示される1小節のドラムパターンを記憶し、演奏するように求められる。このドラムパターンが雨乞いの手順の要素となる。 正しく演奏されたか否かは音声によって伝えられる。スクリーンにはドラムパターンがプロジェクションされ、正しく演奏された否かも表示される。これを8パターンについて行う。 |
第3部(修行) 提示された8パターンの中から4パターンがランダムに選ばれ、並び替えられる。演奏者は演奏によってパターンの並びを探り当てるように求められる。正しいパターンを演奏したか否かは音声によって伝えられる。 |
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第2部と同様に、スクリーンにはドラムパターンと演奏の正否が表示される。これらのパターンの並びが雨乞いとして行うべき手順となる。 |
第4部(本番) 修練を終えた演奏者が、雨乞いを始める。演奏者は目隠しを外し、探り当てたパターンの並びを繰り返して演奏する。演奏が正しく行われたか否かによって、PAスピーカから流れる音響が次第に変化する。これは第1部で収録されたドラの音を音響処理したもので、大地や天空の様相を示す音響として雨がもたらされるか否かを描写する。なお、スクリーンには演奏すべきドラムパターンとその正否が表示されるが、演奏者は見えない場所に立っている。また、音声による正否の提示も行われない。 |
この作品は、パーカッション奏者が演奏する最小限の打楽器群と、オペレータが操作する実時間での音響と映像によって構成される。開発環境としてMax4/MSP2+natoを用いた。
使用楽器・機材:ボンゴ(大・小)、バスドラム、ドラ、マイク(4本)、デジタルミキサーYAMAHA O3D、ドラム音源(MIDIコンバータ)ALESIS DM5、音響処理用コンピュータApple PowerBook G4/500、映像処理用コンピュータ Apple iBook/500、MIDIインターフェース(2台)、プロジェクタ、スクリーン |
祈願者は雨を降らせるという名目で天の声からの指示を忠実に全うしようと努力する。しかし一見すると、主従の関係がはっきりしているように見えるが騙されてはいけない。祈祷者の行為は、天の声に向かって捧げられているわけではないのだ。まして、祈祷者が切実に願う雨とは収録された音響などではない。これらは目的のためにこれは仕組まれている。しかし、雨を降らせる者はそれに気づきはしないだろう。結局のところ、この祈祷者の行為はその目的を果たすことになるだろう。
「play for rain」は演奏者の行為によって自立的に演奏内容が変化することになっている。それは、演奏者の能力と演出力を試みることを意味する。これらの作品は様々な応用、展開が期待できる一方で(その気になれば、本当に雨を降らせることだって可能だろう)その意味と意義を十分に考慮する必要があるだろう。 |
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